入学後は学問に集中しようと思っていましたが、高校時代にテニス部だったことから旧友に誘われテニス部に入り、「学問」と「部活」の両方をこなす日々を送りました。「学問」では、論理を学ぼうと物理学を独学で勉強しました。その他にも幅広く勉強し、自分自身の自然認識を形成していきました。「部活」では、自分の限界を設定しながらも、どのようにすれば試合に勝てるかを考え、相互作用感覚を身につけました。そこで培ったものが、将来的に活きてきていると感じています。
自分がやりたい研究は、分子を主体とした研究でした。ちょうどその頃、分子クローニングが汎用化し、生体の機能に対応する分子を、少し頑張れば見つけられるようになっていましたが、その技術を習いたいと思っても日本ではなかなか叶いませんでした。そこで、大学院の時に研究していた電気生理学を活かし、アメリカの大学の研究室へ留学することを決心しました。アメリカでは、粘って交渉を続け、やりたかった分子クローニングの研究を行うことができました。
アメリカでは、誰も手を付けていない領域である細胞膜の物質透過を担うタンパク質「トランスポーター」を同定する研究を行いました。その業績をベースに、日本に帰国後、さらに研究を発展させていきました。
私たちの時代とは違い、今の大学の授業は複合的で面白く、魅力的になっていると思います。よく勉強をして、それをきっかけとして自分で考え、さらに勉強してもらいたいと思います。