五十嵐研究室に所属して、夏目漱石や芥川龍之介、三島由紀夫、川端康成、武田泰淳など、いろいろ読みました。特に、太宰治や坂口安吾には夢中になりました。夏の北軽井沢合宿や春の京都旅行なども毎年恒例で、自由で和気あいあいとした面白い研究室でした。
卒業論文は、宮沢賢治について研究しました。賢治の作品は、読むたびにその世界観に深い感銘を受けます。今も、一番大好きで一番特別な作家です。
サークルは文芸部に入っていました。詩や短編を書いては、部誌「やんぴ」「荒牧文学」に寄稿していました。部室で、みんなで夜遅くまで喋ったり、食べたり呑んだりしたのが楽しかったですね。荒牧祭は毎年、「郷土文学研究」を発刊したり、のど自慢大会に部員総出で出場したりして、盛り上がりました。
小説と児童文学の違いは?と問われると、小説はある程度の年齢にならないと読めないものだけれど、児童文学は子どもから大人までが読むことができるもの、ということでしょうか。わたしの場合、書きたいことを書いていると、児童文学になってしまうようです。
生きてゆくということは、うれしいことや楽しいことばかりじゃない。悲しいこと、つらいこともたくさんあります。それは、大人も子どもも同じだと思います。たいへんなことはいっぱいあるけれど、でも、生きていていいんだ、生きてゆくのはうつくしいことなんだ、と感じられる物語をつくっていきたいなと思っています。
大学生活で、夢中になれるもの、大好きなことを見つけられるといいな、と思います。
研究やサークル活動などの中で、自分がほんとうに楽しいと感じられることに、精一杯打ち込めるといいですね。
大学生という時間は、小中学生や高校生とも、社会人とも異なる、特別な時間だと思います。自由で楽しいと同時に、たいへんなことも多い。そんな中で出会えた大好きなものは、これからの人生の道しるべになると思います。たとえ将来に直接はつながらないものであっても、お守りのようにずっと自分を支えてくれると思います。