大学院理工学府知能機械創製部門 荒木幹也教授らの研究グループに「日本機械学会賞(論文)」が贈賞されました
大学院理工学府知能機械創製部門 荒木幹也教授、坂入克弥氏(IHI原動機:当時群馬大学学生)、栗原崇至氏(小松製作所:当時群馬大学学生)、ゴンザレス?ファン助教、志賀聖一名誉教授、石間経章教授の研究グループと、トヨタ自動車株式会社 羽原輝晃氏、三谷信一氏との共同執筆による論文「Effects of injection parameters on the amount of wall-wet fuel in a port-fuel-injected spark-ignition engine during cold start」が、「2023年度日本機械学会賞(論文)」に採択されました.International Journal of Engine Research第22巻1号に掲載されたもので、エンジン内部を直接見ることなく、それでいて直接観察に匹敵する情報を得ることを目論む異色の研究です。3次元数値計算も、可視化エンジンも、レーザ計測も使用しません。無改造のエンジンをスターターモーターで回転させ、あるサイクルから燃料噴射を開始します。そして最初の点火が起こるまでのサイクル数を数えます。たったこれだけの実験から、エンジン内部で噴霧された燃料がどれだけ壁面に付着したのかを定量化し、冷間始動時の壁面付着と蒸発という非定常現象をわずか2つのパラメータで記述しきるというものです。このモデルは電子制御ユニット(ECU)に容易に実装でき、マップ制御に依らない「自ら考えるEUC」実現につながります。エンジン開発における人的?時間的?金銭的コストを劇的に削減するものとして高い評価を受けました.理工学府が次世代研究の柱として掲げる「カーボンニュートラル」「エネルギーマネジメントシステム」のまさに中核となる研究のひとつです。
日本機械学会賞は、「日本の機械工学?工業の発展を奨励する」ことを目的として昭和33年に設けられた歴史ある賞で、今回で66回目を数えます。2023年度日本機械学会賞の贈賞式は、2024年4月18日に東京赤坂?明治記念館にて執り行われました。荒木幹也教授らの研究グループによる「日本機械学会賞(論文)」受賞は2009年度に続き2回目です。同研究グループは、昨年、アンモニアエンジン研究で内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)への採択(SIPも2回目)が決まったばかりであり、快挙が続きます。同研究グループは、理工学府における脱炭素?カーボンニュートラル研究をけん引する存在であり、今後のさらなる研究発展が期待されます。
関連リンク
2023年度日本機械学会賞 https://www.jsme.or.jp/20240305/
荒木幹也 教授 研究紹介はこちら
ゴンザレス?ファン 助教 研究紹介はこちら
石間経章 教授 研究紹介はこちら