気温と樹木種多様性および森林生産量との関係を機能的に解明 ―なぜ温暖な森林は生産量が大きいのか?―
東京大学大学院農学生命学研究科の甲山哲生助教をはじめとする群馬大学情報学部の西村尚之教授?ワーゲニンゲン大学のDouglas Sheil教授など内外の共同研究者は,インドネシアやマレーシアの熱帯林から台湾や沖縄の亜熱帯林、そして鹿児島の暖温帯林から北海道の亜寒帯林に至る60の森林の継続調査のデータを用いた解析から、より温暖な森林ほど、相対的な(炭素量当たりの)年間炭素生産量が高い低木性樹種の比率が高くなることによって、同じ樹木炭素量を持つ森林の炭素生産量がより高くなることを明らかにしました。
本研究成果は、3月13日に国際科学雑誌『Nature Communications』オンライン版にて掲載されました。
従来の研究では、気温と樹木種多様性、そして森林生産の間の相関関係を示すに留まっていましたが、樹木種レベルの生産に注目した本研究では、これらの間の結びつきをはじめて機能的に解明しました。自然林の持続的管理では、炭素量が大きく、生産量も大きい高木種の保全が強調されてきましたが、本研究によって、低木種を含む樹木種多様性の保全が森林生産量の維持にとって重要であることが明らかにされました。
詳細はプレスリリースをご覧ください。なお,本研究の一部はJSPS科学研究費(19K06141)の助成を受けて行いました。