日時 | 2022年5月23日(月)10:00~ |
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会場 | 群馬県庁32階NETSUGEN |
発表事項
世界で初めてDNAが傷ついたときに起こる新しい免疫応答の仕組みを解明
~これまで謎に包まれていたDNA損傷後のHLA Class I提示機構が明らかに~
発表者
- 花屋Hanaya 実?群馬大学研究?企画担当理事、未来先端研究機構長(*ビデオでの会見となります。)
- 柴田 淳史 群馬大学未来先端研究機構内分泌代謝?シグナル学研究部門 准教授
- 内原 脩貴 同 研究員
今回プレスリリースする研究グループについて
群馬大学未来先端研究機構は、本学における基礎研究の強みをさらに発展させる組織として2014年4月に設置されました。今回プレスリリースを行う本機構所属の柴田淳史准教授は、これまでにCell誌を含め、Molecular Cell誌やCell Reports誌等、評価が高い国際誌に数々の研究成果を発表している気鋭の研究者です。今回はMolecular Cell誌に掲載が決定した研究について、5月20日にプレスリリースを行い、5月23日に記者会見を予定しています。
研究成果の概要
人の体の中にあるDNAは、実は毎日様々なストレスによって傷ついています。細胞はその傷ついたDNAを直すために、「DNA修復」という能力を持っています。細胞はDNA修復を行うと同時に、からだ全体にDNAが傷ついたことを伝える、シグナル伝達が引き起こされることが知られています。
今回、柴田淳史准教授らの研究グループは、そのシグナル伝達が、人の免疫応答に関わるHLA Class Iを活性化する仕組みを解き明かしました。DNAが傷ついたあとにHLA Class Iが活性化されることは約20年前から観察されていたにもかかわらず、その仕組みは非常に複雑であり、全く分かっていませんでした。今回の研究では、柴田淳史准教授らが専門とする最新技術である次世代シーケンス解析を駆使することで、世界に先駆けてその仕組みを明らかにすることができました。この研究成果は、世界トップの生命科学系雑誌であるCellの上位姉妹紙Molecular Cellに掲載されました。群馬大学所属の研究者が、責任著者としてMolecular Cell誌に掲載されるのは1999年の創刊以降2人目の快挙です。
社会への波及効果
HLA Class Iが関わる、がん?慢性炎症?自己免疫疾患?アレルギー疾患などで起きている免疫応答の仕組みがわかることで、これらの疾患の予防法や治療法の開発につながると考えています。
本研究成果は、2022年5月19日付の米国科学雑誌「Molecular Cell」の電子版に掲載されます。
タイトル:DNA Damage Promotes HLA Class I Presentation by Stimulating a Pioneer Round of Translation Associated Antigen Production
筆者:Yuki Uchihara, Tiara Bunga Mayang Permata, Hiro Sato, Reika Kawabata-Iwakawa, Sayako Katada, Wenchao Gu, Sangeeta Kakoti, Motohiro Yamauchi, Reona Kato, Soehartati Gondhowiardjo, Naoki Hosen, Takaaki Yasuhara, and Atsushi Shibata* *責任著者